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大津地方裁判所 昭和24年(行)18号 判決 1949年12月27日

原告

重田源治郞

被告

桐原村選挙管理委員会

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

請求の趣旨

原告は被告が昭和二十四年十月十八日なした「桐原村々長重田源治郞は地方自治法第百四十一条の規定に該当せるも地方自治法第六十条第三項の規定に依る届出をなさず本日に至りたる事實が判明せるに依り本村選挙管理委員会は法規の定むる処に従い村長の職を失いたる事を確認す」との決定はこれを取消す、訴訟費用は被告の負担とする、との判決を求めた。

事実

原告は昭和二十二年四月五日町村制に基く選挙により桐原村々長に當選し爾来その職にあるものであるが被告は昭和二十四年十月十八日前記請求の趣旨に記載した通り決定してこれを原告に通告して来た、然しながらこの決定は原告が村長の職を失つた理由として単に原告が地方自治法第百四十二条の規定に該当するとあるのみでその内容を具体的に記載せず原告の如何なる行為が同法条の如何なる事項に関係があるのか判然しない、同法第百十八条第六項によれば被告の右決定には理由を附すべくその理由は法意上具体的にこれを記載しなければならないのであるからこれを欠く右決定は違法である、かりにそうでないとしても原告には同法第四十二条に規定する各事項に該当する事実は全くないのに拘らずこれありとして為した右決定は違法である、よつて右決定の取消を求めるため本訴請求に及んだ次第であると陳述し昭和二十四年十一月十四日被告が改めてその主張の樣な内容の決定を為しこれを原告に通告して来たことは認めると述べた。

被告訴訟代理人は「原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とする」との判決を求め、答弁として原告の主張事実中原告がその主張の日桐原村々長に当選し爾来その職に就いていること、昭和二十四年十月十八日被告がその主張の樣な内容の決定をしてこれを原告に通告したことはいずれもこれを認めるがその余は否認する。抗弁として被告は右決定には原告主張の樣な瑕疵があつたので昭和二十四年十一月十四日委員会を開き審議の結果改めて桐原村々長たる原告は昭和二十一年三月九日桐原村との間に同村施行の水路延長及び道路改修工事につき請負契約を結び現に右工事の請負人たる関係にあることを具体的に認定してこれにより原告が地方自治法第百四十二条に該当し桐原村々長の職を失つた旨の決定を為しこの決定を同年同月十七日原告に交付した。よつて被告がさきに為した同年同月十八日附の事件決定は取消されたのであつて該処分は当初に遡つて失効し本訴の目的は消滅に帰したわけであるから本訴請求は失当であると述べた。

理由

原告が昭和二十二年四月五日桐原村々長に当選し爾来その職にあること、被告が昭和二十四年十月十八日原告主張の樣な内容の決定を為してこれを原告に通告したことは当事者間に争いがない、被告は右の決定には原告の失効事由につき徹底を欠く瑕疵があつたので改めて昭和二十四年十一月十四日その事由を具体的に明示した決定を為しこれを原告に通告したのであつて該決定によつて本件決定は取消されたものであると抗争するのでこの点について考へて見るに被告委員会に於て昭和二十四年十一月十四日被告主張の樣な内容の第二の決定が為され且原告に通達されたことは原告の認めて争わないところでありこの後の決定は形式に前の決定と別個なそれ自身独立した決定であつて内容にその趣旨及び理由を同じくする決定であるということに疑義なく又後の決定は前の決定中の村長失職理由の不備(それは原告が指摘する樣に違法な瑕疵である)を訂正追完したものであることが明らかである。果して然らばかような場合被告委員会は後の決定を為すことによつて前の決定を取消す意思があつたものというべく後の決定が原告に通告されたことによつて前の決定は自動的に消滅失効したものと解すべきであり行政処分はそれが違法あるならばこれを理由として処分庁自らその取消を為し得るは勿論である。

以上説明の通りであるから本件前の決定が有効に存続することを前提とする原告の本訴請求は爾余の争点の判断を俟つまでもなく失当として棄却すべく訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九十条を適用して主文の通り判決する。

(裁判長裁判官 小石壽夫 裁判官 小久保義憲 裁判官 坪倉三郞)

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